先端巨大症
先端巨大症
先端巨大症(せんたんきょだいしょう)とはアクロメガリーともよばれ、成長ホルモンを分泌する腺腫(せんしゅ、腫瘍)が頭部の中心にある下垂体にできて、成長ホルモンが過剰に分泌されることでおこる病気です。その影響で顔つきが変化する、体の一部が肥大化するなどの特異な症状を引き起こします。思春期前に発症すると下垂体性巨人症となります。
下記のようなお悩みがある方は当診療所までご相談ください。
発症に気づかずに成長ホルモン過剰が持続すると、狭心症、心不全、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、甲状腺癌、大腸癌、脂質異常症、糖尿病、高血圧などのリスクが高くなります。
脳の下垂体に、成長ホルモンを過剰に分泌する腺腫が発生することが原因ですが、下垂体に腺腫が発生する原因は不明です。
血液をおこない、血液中の成長ホルモン、成長ホルモンに刺激されて分泌されるインスリン様成長因子(IGF-1)の濃度を測定し、基準値を超えて分泌されていないかを確認します。これらが上昇していた場合は、ブドウ糖を摂取しておこなう経口ブドウ糖負荷試験をおこないます。ブドウ糖を摂取すると血糖が上がりますが、これに反応して成長ホルモンは低下します。先端巨大症では成長ホルモンは低下せず、場合によっては上昇することがあり、これにより成長ホルモンが過剰に分泌されることを確認します。
画像検査ではMRI用いた下垂体造影MRI検査で断層撮影をおこない、下垂体腺腫の有無を確認します。成長ホルモン過剰による骨の変化を調べるために、頭部レントゲン、手レントゲン、足レントゲン撮影などもおこないます。
治療は、手術により下垂体腺腫を摘出することが第一選択となります。
手術では鼻もしくは上唇から腺腫を摘除するハーディー法を用いるのが一般的です。基本的に腺腫の全摘を目指しますが、手術による腺腫の全摘出率は50~70%程度とされています。腺腫が他組織に浸潤していて全摘出が不可能な場合もあります。
手術による全摘ができなかった場合は薬物療法もしくは放射線治療をおこないます。
成長ホルモン分泌抑制薬もしくは成長ホルモン受容体拮抗薬による注射、保険適応にはなっていませんがドパミン作動薬の内服を組み合わせて治療します。成長ホルモン分泌抑制薬であるソマトスタチンアナログは、成長ホルモン分泌を抑制するだけでなく、下垂体腺腫を縮小させる効果もあります。ただし、薬物療法による完全治癒は困難なため、生涯にわたり継続することが多くなります。
放射線治療は、ガンマナイフやサイバーナイフといった装置を用いておこないます。放射線治療は汎下垂体機能低下症や神経障害を引き起こす可能性があるため、放射線を照射する場所を精密に計画して行います。また、効果があらわれるまでに照射治療実施から3~5年程度の期間が必要です。